2008年7月13日礼拝

2008年7月13日

創世記　35章　1～15節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 危険な寄り道 ＞

「

１．「のどもと過ぎれば、熱さを忘れる」という言葉がありますが、どんなに恐れて大変だった事もそれが無事に過ぎてしまうと、その気持ちをケロッとして忘れてしまう。大変な時は「神様、助けて下さいっ」と必至にすがりつくけれども、無事に過ぎると「あー、良かった」とほっとすると共に、すっかり気が緩んでしまう。そういう事が私たちも本当によくあるのではないでしょうか？

　　この時のヤコブさんもそうでした。ヤコブさんにとって最も恐れていた事、最大の恐怖は故郷で待ち構えている兄エサウに会う事でした。かつて騙してしまった恨みで家族もろとも殺されるかも知れないと思っていましたから。けれども、神様にそれこそ、すがりつく様に必至に祈って、そして、信仰によって覚悟を決めて兄エサウに会いに行ったら、エサウは全然怒っていなくて、涙のうちに兄弟の再会をする事が出来たんですね。

　　勿論、それで完全にわだかまりが取れたかどうかは分かりませんが、でもヤコブにとっては、最大の恐怖が過ぎ去った、取り去られた訳ですから、「はぁー良かったぁ…」それはそれはほっとした事でしょう。

２．そのように長い間、悩んできた大きな出来事が無事に過ぎ去り、守られた時、では、その後、まず何をすべきでしょうか？それは、まず神様に対して感謝を献げるべきですね！だって主が祈りに答えて下さった訳ですから。28章18～22節をお開き下さい。兄エサウの元を逃げ出した時、主はヤコブに現れ、約束して下さいました、「わたしはあなたと共にいて、あなたがどこへ行くにもあなたを守り、あなたをこの地に連れ帰るであろう。」　つまり、主は約束を守って下さって、無事に、安全に故郷に帰らせて下さった訳です。神様がちゃんと約束を守って下さったんだから、ヤコブもちゃんと約束を守らなければなりませんね。つまり、この最初の出会いの場所、誓いの場所に行って、「主よ、約束通り私を守って、養って、故郷の地に帰らせて下さった事を感謝します」と礼拝して、そして十分の一を献げるべきですね！

　　ところが、ヤコブはのどもと過ぎて、ほっとして、まず何をしたかと言うと、まず自分のために家を建て、また家畜のために小屋を造った、という。（33章16～17節）まず主のために、ではなく、まず自分のために家を建て、家畜のために小屋を建てた。

　　「やーれやれ、寿命が縮まったー。でも、これで一安心。さーてと、これからどうしようっかなー。そうだ、まずは長年の夢だったマイホームを建てよう。そうそう、家畜もたっくさん増えたんだよなー。兄さんにあげるつもりだった分も、要らないって言って返ってきたし、ラッキーラッキー。よし、この家畜という財産のために、小屋も造らなきゃなー。」　完全に神様に対する感謝を忘れている感じですねー。でも、神様の事も一応、気になってるというか、「いや、決して忘れてはいませんよ」という印に、隣りの町に行った時に祭壇を建てています。（18～20節）　でも、自分の家を建て、家畜の小屋を建て、その後、３番目にやっと祭壇を建てた。完全に後回しです。しかも、本当はそんな場所で申し訳程度の礼拝を献げるんじゃなくて、ちゃんとベテルに行って、キチンと２０年分の感謝の礼拝を献げるべきですね。

３．そんな訳で、ヤコブはホッとして気が緩んでしまって、やはり、信仰が落ちてしまったようです。神様は後回し、この世に気が向いている。上手くいった後ほど、信仰はダウンしやすいんですね。ところが、一家の主の信仰がちょっと堕落してるとか、世的になって神様から離れていると、その影響は家族に及ぶんですね。やっぱり子どもたちに影響する。　悪い意味で親を見習ってしまうのです。

　　シケムという町に、家族で滞在していた時。ヤコブの子どもたちの中に「デナ」という名前の女の子が一人いました。で、この滞在している町で、同じ年ぐらいの若い女の子達がキャピキャピ言いながら集まってる盛り場みたいな場所でもあったんでしょう。ダンスパーティーみたいな。デナも年頃ですから、「私も言ってみたいわ」と思って、若者が集まってる場所に行ったんでしょう。ところが、なんとそこで、その町と同じ名前のシケムという若者に無理やりレイプ（強姦）されてしまったんですねっ。（34章1～7節）

　　その事を聞いたヤコブの息子たちが非常に怒って、特にデナと同じお母さんから生まれた兄弟シメオンとレビは、自分たちの妹が犯されたという事で、「絶対に復讐してやる」という憎しみに取り付かれるんですね。そこで作戦を考えます。時間の都合で詳しい説明はしませんが、簡単に言いますと、最初は平和な態度で接するんです。

　　その妹を辱めたシケムという若者とその親が来まして、「うちの息子は真剣にお嬢さんを愛しています。決して遊び半分ではありません。どうかお嬢さんを息子の妻に下さい」と言うので、「そうですか。じゃあ私たちは親戚になるんですね」みたいな事を言って安心させておいて（割礼を受けさせて）、なんと数日後、この妹の兄弟シメオンとレビは、その町の男たちを剣でもって皆殺しにしてしまうんですね。それだけでなく町をメチャクチャにします。（25～31節）。

　　ローマ12章19節には「自分で復讐をしないで、むしろ、神の怒りに任せなさい。なぜなら、『主が言われる。復讐はわたしのすることである。わたし自身が報復する。』」とあります。妹を犯された怒りは分かるけれども、人間が自分で復讐すると、しばしばやり過ぎてしまいます。

４．まーそういった、とんでもない大事件がヤコブの子どもたちの中で起きてしまった訳です。ヤコブは頭を抱えた事でしょう。その時に、この時に、主から声がありました、35章1節、「あなたは立ってベテルに上り、そこに住んで、あなたがさきに兄エサウの顔を避けてのがれる時、あなたに現れた神に祭壇を造りなさい。」

　　ヤコブはハッとしたでしょう。「ベテルに上って、そこに住みなさい」と。　「ヤコブ、あなたが住むべき場所は、そこじゃないでしょう。シケムでも無ければ、スコテでも無いでしょう。何を寄り道しているんですか。あなたが住むべき場所は、ベテル（神の家）でしょう！わたしとあなたが初めて出会った場所、誓いを立てた場所、あのベテルに住んで、この世の事や、財産の事でなく、わたしをまず礼拝して生きる事を中心にした人生を送りなさい！」と言っておられるようです。

　　ヤコブは思ったでしょう、「子どもたちがこんな大変な事になったのも、気が緩んで、神様から離れがちになっていた私の信仰の寄り道、脱線、その影響もあるだろう…」と。

　　そこでヤコブは、家族全員に呼びかけます。（2～5節）　家族全員でもう一度、神様の前に悔い改めて、信仰の原点、出発点に帰ろうとしました！そうして、ヤコブは改めて祝福の約束を頂きました。（11，12節）

５．大きな試練を乗り越えた時、信仰の気が緩みやすい私たちです。けれども、そこに危険な落とし穴があるのです。ノアもダビデも気が緩んだ時に失敗をしました。私たちは迷子になりやすい羊なんですね。道を踏み外してしまった、落ちてしまった、脱線してしまったと思った時は、気がついたなら、悔い改めて、信仰の原点、最初にもらった御言に立ち返る事です！　傷の痛みはしばらく残ったとしても、必ず、再出発する事が出来ます！

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