2008年2月17日

ヨハネによる福音書　13章　1〜11節
　　
　　　　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　 ＜　足を洗われる主 ＞
 
「もしわたしがあなたの足をあらわないなら、
　あなたはわたしとなんの係わりもなくなる。」　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　（ヨハネによる福音書　11章　8節）


１．今日は＜足を洗われる主＞。　どういう状況で足を洗われたのかというと、それはいわゆる「最後の晩餐」の夕食の時でした。明日はいよいよ十字架に付けられるという、その前の晩、今まで３年間半、ずっと一緒に歩んできた愛する弟子たちと、ゆっくり静かに過ごせる最後の時間。地上で一緒に食事を出来るのもこれで最後。後はみんなで天国で集まるその日まで、こうして共に食事をする事はない。

　　イエス様にとって、これまでずっと自分について来てくれたこの弟子たちは、本当にいとおしい、愛してやまない一人一人だったと思います。1節「世にいる自分の者たちを愛して、彼らを最後まで愛し通された。」（新共同訳「この上なく愛し抜かれた。」）

　　そんなん言うと、「いいなあ12弟子は。イエス様にそんなに愛されて」と思うかも知れませんが、イエス様はこの12弟子だけを愛していた訳ではありません。この弟子の中に未来の弟子である私たちも含まれている訳です！（17章20節）イエス様は今、弟子である私たちの事も愛して下さっています！


２．でもこの時、既に弟子の一人のユダはイエス様を裏切ろうとしていました（2節）。それはイエス様にとって、本当に心の痛みでした。本当に悲しみだった。だから、この後も何回も心がザワザワッとなって、悲しげに言うのです、「わたしを裏切ろうとしている者がいる」と。イエス様はユダの事も本当に愛していたのです。その弟子の心がサタンに奪われる。イエス様にとって、こんなに悲しい、悔しい事はない。もし既にクリスチャンとなった人が、弟子となった人が、悪魔に心を奪われ、イエス様を裏切って、イエス様から離れていくなら、イエス様にとってこんなに悲しい事はありません。皆さんも、あなたの事をこんなに愛しておられるイエス様の事を裏切る事のないように、悪魔の誘惑に気をつけて下さい。


３．2〜6節、前にも説明した事があると思いますが、当時の道っていうのは勿論、今の都会のようにアスファルトで舗装されてる訳じゃありませんから、土や砂やドロの道。そして当時の履物は今みたいにクツではなくサンダルみたいなもの。スゴク足が汚れる訳ですね。普通はみんな自分で足を洗うのでしょう。人の汚れた足を洗うというのは、僕、召使いがする事でした。

　　それなのに、イエス様がひざまづいて弟子たちの汚れた足を洗い始められた。この時の弟子たちの気持ちはどんなだったでしょう？きっと、「申し訳ない」という思いだったでしょう。偉大な、尊い神の御子であるイエス様にそんな事させてしまって。

　　けれども、それだけではない。「恥ずかしい。」だって、汚い足ですよ。しかも、臭い。そんな汚くて、臭くて、恥ずかしい部分を、そんな見ないで下さい、触らないで下さい、洗わないで下さい、と。


　　人間、誰でもそうでしょう。自分の外面でも内面でも、キレイな部分、カッコイイ部分、ちょっと自信のある部分、誇れる部分は見てもらってもいい、むしろ見て欲しいと思うでしょうが、カッコ悪い部分、いいえ、最も汚れてる部分は見られたくない。だからこそ隠したり、香水をかけて誤魔化してるのに、「そんな一番汚い部分、見ないで下さい、やめて下さい、恥ずかしいっ」。弟子たちは、そういう思いも強かったと思います。

　　「申し訳ない」＋「恥ずかしい」。それで思わず、「わたしの足を決して洗わないで下さい。」と。　ペテロというのは、実は「ええかっこしい」なんですね。みんなの前でも、格好つけたがる。俺は一番弟子だ。どこまでもイエス様についていくぞ」と、回りに言いたい、見せたい。ある意味、人間なんてみんな「ええかっこしい」です。見栄もプライドもある。だからこそ余計、「主よ、そんな、やめて下さい。いいですって。自分で洗いますから。カッコ悪いやないですか。それにそんなにいうほど汚れてませんし」。


４．でも、イエス様はおっしゃった、8節「もしわたしがあなたの足を洗わないなら、あなたはわたしとなんの係わりもなくなる」。

　　「そんな大げさな」、と思うかも知れません。足を洗ってもらわなかっただけで、赤の他人になる？でも、イエス様が弟子たちの汚れた足を洗われたというのは、実はイエス様がこれから十字架にかかって死ぬ事によって、弟子たちだけでなく、全ての人の、（足のドロ汚れではなく）心の、魂の罪の汚れを洗う、ぬぐい取る、その事を意味してるんですね！

　　汚れた足を洗ってもらう以上に、申し訳ないことです。自分が悪いせいで、自分の罪のせいで、優しいイエス様、尊い神の王子様が、血を流して、苦しみながら死なれ、ヨミに下ってくださった。けれどももし、申し訳ないからと言って、そんな事してもらう義理は無いからといって。また自分の罪を見せるのが恥ずかしいからと言って、イエス様に罪を告白せず、罪のゆるし、救いを受けないなら、罪の汚れを洗ってもらうバプテスマを受ける事を拒むなら、イエス様とは何の関係もなくなってしまう。もし、イエス様の十字架の救い、愛による救いを受け取らないなら、救い主イエス様とその人は無関係になってしまう！天国とも、何の関係も無くなってしまう。

　　ペテロがどこまで分かっていたか。でもイエス様と無関係になるのは絶対イヤだ、9節「主よ、では、足だけではなく、どうぞ、手も頭も」と。確かにイエス様に対して「申し訳ない」し、「恥ずかしい」けど、でも、イエス様から絶対に離れたくない、イエス様にいつまでもつながっていたい、と思ったのでしょう！

　　そして洗ってもらった。「申し訳ない」「恥ずかしい」でも「ありがたい」！


５．私たちはイエス様にありのままの自分を見せなければなりません。エデンの園のアダムとエバのように、自分の罪を隠すように神様から隠れようとするなら、やがて神様との関係、イエス様との関係は無関係になってしまいます。けれども、恥ずかしくても、申し訳なくても、私たちの汚れた罪をイエス様に見せるなら、あなたの事を愛してやまない主は、あなたを洗って下さり、罪なき者として下さるのです！いかがでしょうか、イエス様と無関係の他人になりますか、それともイエス様と関係を結び、イエス様のものとなりますか？




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