2007年8月12日

創世記　12章　1〜9節

　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＜　選びと召し ＞

「あなたの国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、私が示す
　地に行きなさい。」　　　　　　　　　　　　 　　　　　　 　　　　（創世記　12章1節）


１．先週から今週にかけては、故郷に帰られている方も多くおられます。という事は、多くの人が普段は故郷から遠く離れた場所で生きている、生活しているという事ですね。

　　私もそうですが、久しぶりに故郷や実家に帰りますと、しみじみと思う事があります。それは「自分はかつて、確かにこの家（あるいはこの土地）で生まれ、育ったんだな」という懐かしい思いと、そして「今は、自分はここに住んでいない。この所から出て、また親の元からも離れて、生きているんだな」という事です。

　　人間、誰でも生まれた場所と産んでくれた親がいます。それは私たちにとって懐かしいものです。けれども、また人間は誰でも遅かれ早かれ、その懐かしい場所と懐かしい親との別れを経験しなければなりません。つまり「自立」するという事です。「巣立ち」と言ってもいいでしょう。その場合、どこに行くのか、どこの場所に住むのか、そしてこれからは誰に従っていくのか、それが重要だと思います。

　　今日からアブラ（ハ）ムの話に入るのですが、彼もまた故郷の土地を離れ、また親とも別れ、真の神様だけを信じて、あてにして従って行くという、本当の意味で「自立」した、新しい人生の歩みが始まりました。


２．それにしても、「選び」というものは不思議だなと思います。アブラムのお父さんは「テラ」というんですが、その子どもはアブラムを含めて３人いたんですね。11章27節。アブラム、ナホル、ハラン。つまりテラさんの家の中で、他にも兄弟がいたのに、なぜアブラムさんが選ばれたんだろうか？理由は分かりません。別にアブラムが他の兄弟に比べて優れていたからではありません。むしろ、その逆だったかも知れません。決して意志も強くないし、恐れるし、逃げるし、ウソもつくし、人間的な計算で行動するし。

　　皆さんの中でもそういう人がいるでしょう。なぜ、自分の家の中で、身内の中で、自分一人だけクリスチャンになったんだろう？理由は分かりません。でも、あなたも神様によって選ばれた、その事は事実です！あなたは神様の深いご計画によって選ばれたのです！それは逃れようの無い事実。（ヨハネ15章16節）


３．選ばれ、そして召し出されました。１２：１。アブラムが元々いたカルデヤのウルという場所は、「月」を礼拝する月礼拝の地でした。そういう偶像礼拝の故郷から離れ、国を出て、親族に別れ、父の家を離れ。11章32節を見ると、お父さんのテラとも死別しています。

　　そして「わたしが示す地に行きなさい」と。それは直接には「カナンの地」の事です。しかし、そこには「神の国を目指しなさい」というメッセージが込められています。

　　私たちは、神様に従っていく者とされるために、選ばれました。そして神様に従っていくためには、様々なものから離れなければならない、という面があります！　必ず！ 国を出る、親族に別れる、父の家を離れる、そして家だけでなく、父親そのものと別れる。

　　最初にも言ったとおり、それらは全て懐かしいものです。長い間、慣れ親しんできた、愛着あるもの。そこにいれば安心だ。自分の庭だ。よく知っている土地と人。みんなも自分を知っていてくれる。また、長年の生活習慣、今さら変えられない。急にそれを変えるのは大変だ、面倒だ。今までのままでいい。

　　けれども、神様は私たちに「そういうものにしがみついていないで、住みなれた世界、環境から離れて、わたしに従ってきなさい」と言われるのです！それは、神様と１対１の関係を結ぶため。　周りから離れて、神様とあなたの、１対１の信頼関係を育て、深めるためです！


４．いつもお話しますが、生まれも育ちも東京の私が（本来、行くべき神学校ではなく）、神様の不思議な導きで神戸の神学校に行き、しかも全くそのつもりは無かったこの教団に入りました。いまだに不思議がられます。

　　けれども、それは私にとって絶対に必要でした。言うまでも無く、私にとって故郷と母教会は居心地がいい。慣れてる、知ってる、知られてる、周りの色んな人に甘えられるし、助けてもらえるし、ゆるしてもらえるし。でも、どうも神様は神戸に行くように導いておられる。不安はいっぱいありました。でも、行きました。

　　そして神戸に行ったら、誰一人、私の事を知らないし、私も誰一人知り合いはいない。土地も分からない。本当に神様だけしか、イエス様だけしか知り合いがいない。そういう状況の中で、当初は本当に「なぜこんな所に来てしまったんだっ」と本当に後悔しましたけれども、それによって、イエス様との１対１の関係が深められていきました！


５．アブラムも従っていきました。１２：１〜。勿論、恐れと不安はいっぱいあったでしょうけども、「あなたを祝福する」「祝福、祝福」と言われる約束を信じて、勇気と決断をもって、進みました！（4、5節）

　　人生には大きな決断が必要な事がありますよね！今まで積み上げたものをぶっ壊してでも、信仰をもって進まなければならない時がある！あまり先の事を心配しすぎては進めない。神様の言葉だけを頼りに進む！


６．アブラムさんも祝福の約束を信じて前に進みました。　ところがね、最初しばらくは「あれっ神様、ちょっと話が違うんじゃないかな？」と思う事があります。アブラムさんも「カナンの地に行けば祝福される、素晴らしい事が待ってる」と思ったら、その地にいきなり飢饉があった。食べる事に苦労し始めた。

　　でも慌てちゃいけません。神様には長い、深いご計画があるんですから。神様に従っていって、すぐ祝福を頂けていないように思えても、すぐ疑っちゃいけない。

　　私も神戸に行く時、不安と共に「ぼくは神様に従って、いまだ見ぬ地に行くんだから、きっと良い事ばっかりあるに違いないっ」という期待もありました。ところが最初はそうじゃなかった。「こんな筈じゃないっ」と。

　　でも、今は「私はあの時、神様の導きに従っていって、絶対に良かった！苦労はしたけれども、絶対に良かった！」と１００％の確信をもって言う事が出来ます！本当の多くの祝福を頂いたからです。


７．“あなたは国を出て、親族に別れ、父の家を離れ、わたしが示す地に行きなさい。わたしはあなたを大いなる国民とし、あなたを祝福し、あなたの名を大きくしよう。あなたは祝福の基となるであろう。”　主の約束を信じて、従っていきましょう！



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