2007年7月8日

創世記　6章　11〜22節

　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＜　全き人とは ＞

「ノアはすべて神の命じられたようにした。」　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　（創世記　6章22節）


１．先週も創世記６章からお話しましたが、もう一度詳しく見たいと思います。９節にある通り、「ノアはその時代の人々の中で正しく、かつ全き人であった。ノアは神とともに歩んだ。」　では一体、世の中の周りの人たちと、そしてノアと一体どういう違いがあったのか、その事を考えながら見ていきたいと思います。


２．まず、６章１〜４節。「神の子たち」っていうのは別に天使の事だとかいう意味ではありません。一つ前の５章1、2節にもある通り、人間は全て神様によって造られ、神様にかたどって造られた。その意味では全ての人間はもともと「神の子」と言えるでしょう。

　　その中でも特に、「神の子」という言い方には、「神様を信じる者」という意味があると言われます。エデンの園を追放された後でも、神様を敬う人たちがいました。逆に「人の娘たち（神の娘たちとは呼ばれない）」とは神様を敬わない人たち。

　　ところが、その神様を敬ってきた筈の「神の子たち」でさえ、神様を敬わない「人の娘たち」の美しいのを見て、自分の好む者を妻にめとった。これはどういう事を意味するか？

　　結婚、そこには子どもも生まれてくる、つまり家庭が築かれていく訳です。社会というのは全部、家族で形成されてる訳です。たくさんの家族の集まり。それが社会です。ですから、どういう結婚をするか、どういう方針で家庭を築くか、それによって家族と社会の運命が決まるとも言える訳です。　ですから、どういう基準と価値観で結婚するか、結婚相手を決めるか、これは非常に重要な問題です。


３．ところが、神を敬うはずの神の子らが、「人の娘たちの美しいのを見て、自分の好む者を妻にめとった」。つまり、最も大事な結婚の基準が、外面の美しさと自分の好み。大事な事を決めるのに、自分の好み以上に神様に聞くべきです！神様の御心を聞いて、神様の御心を考えて、そうして決断すべきだった。

　　そのように、この時「神の子たち」でさえ、神様の御心より自分の好みを優先して家庭を築いていった。その結果どうなっていったか、５節「人の悪が地にはびこり、すべて心に思いはかることが、いつも悪い事ばかりである」という世界になっていった。

　　結婚だけでなく一事が万事、神様に聞く、御言に従うというよりも、全てにおいて自分の好みで決める。そして大事な中身や永遠の価値観より、外面の美しさ、一時的な今の楽しさ、そういう事で生きていった。

　　「悪がはびこり」とあるけれども、「悪」とはすなわち、神様を無視した生き方の事です！そんな人類が堕落して、悪が世にはびこるのも当然の結果でしょう。


４．そういう中にあって、ノアは正しく、全き人であった。つまり、ノアは神様に聞き従う人だったという事です！そして、神様を敬う家庭を築いていた、という事です！

　　いかにノアが神様に聞き従う人だったかは、この箱舟作りに表れていると思います。

　　１１〜１６節。ちょっと、この箱舟を実際に自分が作る事を考えてみて下さい。長さ140ｍ、高さ14ｍ、３階建て。学校のグランドいっぱいの大きな船です。まず木を切ってくる事から始めないといけません。勿論、何十年もかかった事でしょう。水が漏れたらいけませんから、正確に作らないといけません。神経も使うでしょう。

　　まあ本当に忍耐のいる、根気のいる仕事ですよね。人生の大半の時間と勢力を箱舟作りに注いだ訳です。決して楽ではない。途中で、嫌になるような、投げ出したくなるような時もあったでしょう。

　　しかも、作っている間中、周りの人々からは嘲られる。「あの人は何をそんなに汗水流して、来る日も来る日もあんなもの作ってんだ？」　「神の裁きで洪水が起きるんだってよ。この世の終りが来るんだってよ。」　「そんな事ある訳ないだろ。絶対無いよ、そんな事。」


５．そう考えると、スゴク大変そうだなあと思います。でも、２２節にこう書いてあります、　「ノアはすべて神の命じられたようにした。」

　　これが周りの人達との違いです。他の人たちはすべての事において、自分の好みのままに生きた。けれどもノアは、すべての事において「神の命じられたようにした。」


６．確かに箱舟を作るのは大変な仕事だったでしょう。けれども、出来ない事ではない。

　　神様は出来ないような、無理な命令は決してされない。従ってみれば、必ず出来るのです。なぜなら、神様は従う人にはちゃんとその力を、日々与えて下さるからです！動物たちも、実はノアが集めたんじゃなくて、神様が連れてきて下さったのです（７章８，９節）。

　　そのように、ちゃんと神様の不思議な助けがありますから、神様に一つ一つ聞きながら、祈りながらすれば出来るんです！

　　ノアさんだって、一日に出来る事は限られていたでしょう。一日に木を一本切るのが精一杯という日もあったかも知れない。けれども、大きな箱舟も一本一本の材木から出来ているように、大事な事は、一日一日神様の言葉を聞いて、その一日神様に従おうとする事。

　　そういう人生の積み重ね、継続、それが「すべて神の命じられたようにした」という一言に集約されているのです！

７．誰より、イエス様ご自身が、父なる神様の御旨に従い、箱舟を造るよりも困難な十字架による救いを開く使命を最後まで全うされました。「十字架の死に至るまで従順であられた。」（ピリピ二・８）

　　神様に最後まで従い通すという事は確かに簡単な事ではありません。しかし、イエス様は私たちを励まして下さいます。信仰の道を全うさせていただきましょう。



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