2006年8月20日

ヨハネによる福音書　2章1〜11節

　　　　　 　　　　　　　　　　　　　　　　　 ＜　小さな祈り ＞

「ぶどう酒がなくなったので、母はイエスに言った、『ぶどう酒が
　なくなってしまいました』。」　
　　　　　　　　　　　　　（ヨハネによる福音書　9章3節）



１．今日の聖書箇所は「カナの婚宴」と呼ばれる有名な所ですが、実は今日の中心は結婚の事ではありません。

　　この結婚式は母マリヤの親戚の結婚式だったようです。イエス様も弟子たちもその結婚式に招かれていた（1〜2節）。イエス様がそこにいる結婚式でした。

　　当時の結婚披露宴は一週間ぐらい続く事もあったそうですが、ごちそうもさる事ながら、ワインを振舞う事はかかせなかった。まあところが、予想以上にお客が多かったのか、よく飲んだのか。これだけあれば大丈夫だろうと思うほどに十分用意していたつもりでしょうけれども、葡萄酒がもう底をついてしまった。人生にはこのように、予想や計算・計画を超えた出来事、想定外の出来事がいくらでも起こってきます。

　　マリヤさんは裏方のお手伝い、接待係だったのかも知れません。困ったマリヤさんは、イエス様にこの現状を打ち明けました。何とかして欲しいという願いがそこにある訳です（3節）。


２．私、この箇所を改めて読みながら、「おいおい、マリヤさん。そんなこと、わざわざイエス様に頼みなさんなよ」と思いました。　そりゃマリヤさん達にとってみれば、結構一大事だったのかも知れないけれども、だからって別に葡萄酒が無くなったって誰か死ぬわけじゃないんだし、極端な話が水でもいいじゃないか。なんなら、もうお開きにすればいいじゃないか、と。イエス様は便利屋じゃないんだから。ドラえもんじゃないんだから。

　　イエス様もこう言われた、（4節）。「わたしの時は、まだきていません。」　「わたしの
　　時」っていうのは、イエス様が最大の使命を全うする時。つまり、人間の罪の罰を身
　　代わりに背負って十字架にかかって死に、そしてよみがえって救いの道を開くという、
　　最大の奇跡を行う「時」。そのためにイエス様は、天におられた神の御子であるのに、
　　わざわざ人間となってこの世に来て下さったのです！底をついた葡萄酒を補充する、
　　そんな事のためにわざわざ来た訳じゃないんです。

　　でも、実はマリヤさんもその事が分かってなかった訳ではないんですね。勿論、詳しく具体的には分かってなかったでしょうが、イエス様が永遠に関わる最も大事な事、私たちに救いを与え下さるために来られた神の子である事はよーく承知していました。でも、だからこそマリヤさんにはイエス様に対する信頼がありました！自分たちの事を愛して、私の事を愛して、最も尊いもの、最も価値あるもの、最も必要なもの、すなわち永遠の命さえ、救いさえ与えて下さろうというイエス様は、今この目の前の小さな必要さえ、満たして下さらないはずは無い！この小さな、しょうもないような祈り、求め、願いに答えて下さらないはずは無い！具体的にどういうことをして下さるのかは分からないけれども、愛する私のために、何か素晴らしい事をして下さるに違いない！そういう信頼があったんですね！　イエス様の愛に対する信頼があったのです！！！


３．私もしょっちゅう思う事があります。祈りながら、「スイマセン、イエス様。こんな、しょうもない願いをわざわざ祈ってしまって」。また、その祈りが聞かれた時には「こんなしょうもない祈りまで答えてもらって、感謝します」と。

　　けれども、私たちの日常っていうのは取るに足りないような小さな様々なものが事実、必要です！永遠の命も必要だけれども、今日の昼ごはんも必要だ！本当に小さなことと思う事で、結構私たちは「あーどうしようっ、助けてっ」と思う。けれども、私たちを愛して、私たちのために永遠の命さえ与えて下さるイエス様は、愛する私たちの小さな日常の必要のこともよーくご存知で、「そんなしょうーもない事」とは言わずに、ちゃんと心配して、求める祈りに答えてくださるのです！

　　大きなものを与えて下さるイエス様は、勿論小さな必要も与えて下さるのです！

　　イエス様を信じて、イエス様と一緒に生きていくという事は、そういう事です。大きな事だけではない。日曜日だけでもなく、平凡な日常、日々の生活の中で、どんな小さな事でもイエス様に祈り、イエス様はその小さな祈りに答えて下さる。そして感謝する。そういう日々のイエス様との生き生きとした愛のやりとりが素晴らしい！夫婦や親子だってそうじゃないでしょうか？


４．最後に大事なこと。マリヤさんは求めただけ、祈っただけじゃない！（5節）。祈るだけでなく、イエス様がみ言葉で「こうしなさい。このようにしなさい」と言われたなら、何でもお言葉どおりにしよう、従おうという姿勢です！（実際に体を動かしたのは僕たちですが。）

　　どうでしょう、私たち、自分の願いを祈るのは祈っても、その後、御言に聞こう、なんでも従おうという姿勢が無い事があるんじゃないでしょうか？それでは主のみ業は現れない。奇跡は起きない。祈っても、与えられた御言に従わなければダメです。（5〜11節）。

　　イエス様の愛と言葉に信頼して生きていく、これがクリスチャンの人生です！



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