2006年6月11日

使徒行伝　9章26〜31節

　　　　　　　　　　       　　　　　　　　 ＜ 兄弟、姉妹の交わり ＞

「バルナバは彼の世話をして使徒たちのところへ連れて行き、それ以来、
彼は使徒たちの仲間に加わり、」                   （使徒行伝　9章27、28節）


１．今日の内容は一言で言えば、「サウロの仲間入り」という事です。この9章の前半にサウロ（後にパウロ）の劇的な回心の事が記されています。サウロは教会を迫害する事、クリスチャンを殺すという事に情熱を燃やしていましたが、稲妻に打たれるようにイエス様と出会いました。そうして180度人生が変わって、サウロは全く生まれ変わりました。しかし教会のクリスチャンたちは、それがなかなか信じられませんでした。（26節）

　　私たちクリスチャンが、人がつくり変えられる事を案外信じてないかも知れません。勿論、人には出来ない。けれども、神には何でも出来ない事はない。イエス様には出来る！弟子たちにもスグには信じられなかった。「騙そうとしてるんじゃないだろうか」と。

　　けれども、信じられなかっただけでは無かったと思うんですね。サウロがクリスチャンになった、自分達と同じ仲間になったという事が、気持ち的に受けいれられなかったんではないでしょうか。今までさんざん自分達を迫害して、殺そうとしたサウロ。「エルサレムの教会をメチャメチャにされて、ステパノが殺された時だって、一緒になって『やれー、殺せっ』って叫んでた奴じゃないかっ。そんな奴が、『私もクリスチャンになりましたので、仲間に入れて下さい』だと。ふざけるなっ」という気持ちだったんではないでしょうか。


２．無理もないとも思うんですが、でもそれは心の狭さでもあった。私たちにもある、なかなか人を受けいれられない心の狭さ。その人の過去にこだわったり、色々なことにこだわりがあって受けいれられない。

　　サウロがけなげにも、仲間に加わろうと努力したって書いてます（26節）。でも教会に受けいれてもらえない寂しさを、サウロはしばらく味わった事でしょう。聖霊に満たされていたはずのペテロさん達でも受けいれられなかったんだろうか。でも聖霊に満たされるっていうのは、風船を膨らますのにも似てると思います。風船ていうのは中に空気を満たす訳です。でも最初は小さい。空気で満たされているのは間違
　　いないけども、まだまだ小さい。けれども、更に空気を入れればどんどん大きくなる。そうやって聖霊に満たされ続けていくによって、だんだん人を受けいれられるようになっていくのでしょう。


３．そんなサウロをまず最初に受けいれたのが、バルナバという人でした。バルナバというのは「慰めの子」という意味です（27〜28節）。きっと本当に寛容で柔和で、心の広い人だったのでしょう。サウロを恐れず、過去や偏見で判断せず、サウロに近づき、色々親切にし、そして使徒たちに彼を紹介してあげました。「彼は本当にクリスチャンになったんだ。彼は仲間なんだ」と。それによって、教会のみんなはようやっとサウロを仲間として受けいれるようになった、というのです。

　　サウロは後でパウロと呼ばれるようになりますが、私はパウロさんは「一匹狼」みたいなイメージが少しありました。なんか強くて、一人でガンガン伝道していくような。けれども決してパウロは一匹狼ではない。いくら信仰が強くても、一人で生きていけるクリスチャンは一人もいないのです！パウロは確かに後に人一倍伝道し、活躍したけれども、それは教会の仲間の祈りに支えられていたからです！

　　もしこの時、バルナバを通してサウロが教会に受けいれられていなかったら、「なーんだ。教会って冷たいじゃないか。クリスチャンって、全然私を受けいれてくれない、心の狭い人たちじゃないか」と、つまづいて信仰を失ってしまったかも知れません。

　　実は、バルナバより先にサウロを受けいれた人がいます。それは、サウロが光に打たれて目が見えなくなった時、イエス様に遣わされてサウロの目を開けてあげた人、アナニヤです（17節）。アナニヤはサウロの事をなんと呼んでいますか。「兄弟サウロよ」と！

　　実はアナニヤも最初サウロの事が恐かった。けれどもイエス様に言われ、サウロを神の家族、兄弟として受けいれたのです！

４．この東京教会も次から次へと新しい方が来られます。新しく加われる方や求道者、あるいは生まれたばかりのクリスチャンが、一人ドキドキしながらやってくる。　聖霊によって、人を愛し、受け入れる者とさせて頂きたいですね！新しい人が神の家に加わろうとする時、声をかけ、近づき、受けいれて頂きたいと思います！

　　そして、ぜひ兄弟、姉妹の交わりを深めていって頂きたいと、切に願います！クリスチャンは一人では生きていけないのです。勿論、最初からなんでも分かち合えないでしょう。けれども少しずつ、時間をかけて、お互いの悩みや、弱さや、祈りの課題や、重荷を分かち合って、祈り合える教会を目指して行きたいと願います！（伝道の書4章9〜12節）



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