2006年4月9日

マルコによる福音書　15章33〜41節

　　　　　　　　　　　　　　　  　    　 　 ＜ 捨てられる苦しみ ＞

「わが神、わが神、どうしてわたしをお見捨てになったのですか。」
                                                                   　（マルコによる福音書　15章34節）


１．今週は受難週と言って、イエス様が私たちの罪のために十字架に向かって行って下さった事を、特に深く思う一週間です。

　　イエス様の苦しみっていうのは十字架にかかられる前から既に始まっていたと思います。ユダの裏切りも大きな悲しみだっただろうと思います。（14章43節〜46節）。

　　今日の題に「捨てられる苦しみ」と付けましたが、人から捨てられる苦しみ、信頼していた人に裏切られる苦しみ、というものがあると思います。友達に裏切られる、あるいは捨てられる。この間まであんなに親しかったのに、あんなに仲良かったのに、ある時から全く離れて行ってしまう。また夫婦であれば、もしどちらかが浮気をするという事があれば、本当に裏切られたと思うでしょう。また捨てられたと思うでしょう。

　　皆さん、想像してみてください。自分が一番愛して信頼している人に、もし裏切られる、捨てられるとしたら。その心の苦しみに耐えられるでしょうか？愛する者に裏切られるというのは大きな心の苦しみです。愛していればいたほど、裏切れた時の苦しみは大きい。

　　イエス様はユダの事も物凄く大きな愛で愛しておられた訳ですから、その裏切られた時の悲しみは物凄く大きかったと思います。　しかも嘘の口付けで裏切るという。

　　そして５０節。愛する弟子たち全員、イエス様を見捨てて逃げ去った。誰一人、「イエス様を捕まえるなら、私も一緒に捕まえてくれ」とは言わなかった。誰もお供しなかった。


２．そしてこの後、イエス様は裁判にかけられます。（15章12節〜20節）。

　　イエス様は天におられた神の子であるのに、なんでわざわざ地上に来られたかって言うと、私たちを愛するため、私たちのために来て下さった訳です。ところがこの時、人々の出した答えは、「死ね」「イエスよ、十字架にかかって死ね」！最大の憎しみの言葉。

　　イエス様は、愛するためにやってきた、その人間たちから捨てられた訳です。

　　でも、どんな事があっても、どんなに人から拒絶される事があっても、今まではイエス様は耐える事が出来ました。それは、自分は父なる神様の最大の愛で愛されているという事実があったからです！自分が神様から愛されている、尊いかけがいのない存在として大切にされている、たとい誰かが自分を要らないと言っても、父なる神様だけは自分を必要だと言って下さる、その事はイエス様の存在の根本。よりどころ。それがあるから生きていられる！

　　けれどもこの時、イエス様はその父なる神様に捨てられねばならなかったのです！

　　15章33節〜38節。それは、父なる神様から捨てられる、という事が、イエス様が私たちの罪の罰を身代わりに受ける、という事だからです。私たちが本来、受けなければならない罪の罰というのは、父なる神様から完全に捨てられるという事です！それが魂の死。魂の滅び。

　　いまだかつて、神様に愛されなかった人は一人もいないし、神様に全く捨てられている人は一人もいません。その人が神様に愛されている事を知っているか、知らないかに関わらず、事実、全ての人は今なお神様に愛されています。愛されてるからこそ、太陽も空気も水も食べ物も与えられている訳です。地球という住む場所も与えられている。

　　でも神様から完全に捨てられるという事は、それらのものが与えられなくなる事は勿論、何の愛も、何の光も、何の温かさも無い、真っ暗な宇宙空間に一人で放り出されるような、譬えるならそんな状態になることです。でも意識はあるとしたら…

　　イエス様が味わわれた、神様に全く捨てられる苦しみというのは、言葉で精一杯表現するなら、そういう事でしょう。


５．けれどもこの時、38節を見るならば、「神殿の幕が上から下まで真二つに裂けた」とあります。これは今まで、神様と人間の間を隔てていたものがなくなったという事の象徴的出来事です。私たちの罪の罰をイエス様が身代わりに受けて下さったので、神様と私たちの間を隔てる幕は無くなった。この身代わりのイエス様を信じるならば、私たちは永久に父なる神様から捨てられる事は無いのです！

　　皆さんは、これから様々な苦しみに会う事があるかも知れない。イヤ、今現在、苦しみに会っているかも知れない。人に裏切られ、捨てられ、人前でののしられ、恥をかかされ、悪者呼ばわりされ、つばをかけられ、こぶしで殴られ、「お前なんか死ね」とさえ言われる程に人から憎まれる事さえあるかも知れない。肉体的な極限の苦痛を味わう事もあるかも知れない。けれども、絶対に無いこと、それはイエス様を信じているならば、どんな時でも父なる神様から捨てられる事は絶対に無いのです！永久に無い！神様の無限の愛が無くなる事は決してない！それは、イエス様の身代わりの十字架にお陰なのです。



　　　　　　　　　このペ−ジのTOPへ　　　　　前週へ　　　　　翌週へ　　　　　一覧表へ戻る