2006年3月19日

マルコによる福音書　14章32節〜42節

　　　　　　　　　　　　 　　　　　　　 ＜ 弱い弟子と、先頭に立つイエス ＞

「立て、さあ行こう。」（マルコによる福音書　14章42節）


１．今日のメッセージはその題の通り、弟子たちがいかに弱い者であるか…その弟子の弱さっていうのは、正に私たち人間の弱さですが…しかし、その弱い弟子たちを率いて、いつも先頭に立って行かれる強いイエス様の姿を見たいと思います。

　　イエス様が十字架にかかられる前の日の事ですが、いわゆる「最後の晩餐」と呼ばれる「過越の食事」を皆でしようとされた訳ですが、そのためには当然、場所が必要ですし、結構、準備が必要です。小羊も必要です。でも、弟子たちにはどこでその食事をすればいいのか分かりませんでした。けれども、イエス様は全部知っていて、ちゃんと全部、備えがされてあるんですね。（12〜16節）。

　　当たり前の事ですが、私たちには明日の事が分かりません。未来の事、将来どうなっていくのか分かりません。どこに行けばいいのか？どこに自分の身を置き、どうやって生きていけばいいのか？自分の居場所はあるのか、食べる糧はあるのか？

　　明日の事が分からないっていうのは、とても不安な事ですね。けれども、イエス様は全てご存知なんです！私たちに分からない先の事、明日の事、どこにどうやって行けばいいのか、全部計画をもっておられ、私たちの先に立って、全部用意しておられる訳です！

　　という事は、明日の事も全部知っておられるイエス様に聞けばいいんです。そして、言われる通りにしていけばいいんです。これはスゴイ安心な人生じゃないでしょうか！


２．続いて26〜31節。「あなたがたは皆、わたしにつまづく」「羊は散らされる」と予告されました。そんな風にイエス様に言われたらどうでしょう？「そんな事ありませんっ、私は大丈夫ですっ。仏式のお葬式に出たって、親戚の前だって、ちゃんと私はクリスチャンですっていう態度を示しますっ。自分がクリスチャンである事を恥ずかしく思いませんっ」って言いたくなりませんか。

　　自分で一番弟子だと思っているペテロは、「たとい他の皆があなたに従っていく事に挫折しても、私は決してそんな事はありません。たとい、あなたと一緒に死ななければならなくなっても、ついて行きます」、そんな風に力を込めて言いました。

　　その気持ちは非常に素晴らしいと思うんです。でも、気持ちはあるんだけども、思いはあるけども、実際にはそれが出来ない。それを実行する意志の強さも、勇気も、愛も無い。それが人間の弱さじゃないでしょうか。勿論、ドングリの背比べをすれば、わりと強いという人もいるでしょう。けれども、自分が思っているほど、自分は強くない。また、他人が思うほど、本人は強くない。でも、口ではカッコイイ事を言ってしまう。

　　ペテロをはじめ、弟子たちは自分の弱さっていうものをよく知らなかった。自分を過信していました。けれども、イエス様は弟子たちの弱さをよくご存知でした。イエス様は私たちの弱さもよく知っておられます。「ペテロ、お前は自分で思っている程、強くは無いんだよ」。実際、後でペテロは人を恐れ、死を恐れ、イエス様についていく事に挫折する訳です。自分の弱さを思い知らされ、激しく泣きます。


３．でも、28節にこうあります（読む）。「わたしは十字架で死んで、よみがえった後、あながたより先にガリラヤに行く」と。「先に行く」って事は、後からついて来いっていう事がここに込められてるんですね。確かにお前たちはつまづく。けれども、わたしがよみがえるように、お前たちの信仰も回復する。ガリラヤっていうのは、弟子たちがイエス様に従った出発点ですから。一足先にガリラヤに行っているぞ、と。28節。


４．さて、次にゲッセマネの祈りの場面です。イエス様が十字架に向かっていくための最後の覚悟を決める、もっとも重要な祈りであり、心の戦いをする場面です。その時、イエス様は特に３人の弟子をその近くに連れて行き、目を覚まして祈っていなさいと言われました。苦しい祈りをする自分を祈りの応援で支えて欲しいと思われたのか。あるいはご自分が祈る姿を弟子たちに見届けさせようと思われたか。（32〜40節）。

　　さっきペテロは、「イエス様に後についてどこまでも行きます。たとえ火の中、水の中、死ぬ事があってもついて行きますっ」というような事を言っていたのに、それどころか、イエス様と一緒に、ひと時も目を覚まして祈る事さえ、出来ない訳です！

　　３度言われて、３度とも眠ってしまった。全く弱い。

　　けれどもイエス様は、祈るべき祈りを祈り通して、祈り切って、もう覚悟は決まった。（41〜42節）。弟子たちが眠りの誘惑に勝てずにいる時も、イエス様は血の汗を流して祈られ、そして十字架に向かって、先頭に立って進んで行かれるのです！！！

　　「立て、さあ行こう！」


５．求道中の皆さん、クリスチャンになるって言う事は、何か立派な人間になる事とか、落ち度の無い強い人間になる事と思っておられるかも知れません。もしクリスチャンになる事がそういう事なら、自分はとてもまだまだクリスチャンになれないと思っておられるかも知れません。でも、そうではありません。まわりのクリスチャンを見て下さい。そんな立派なクリスチャン一人もいないでしょう？立派で人格的にも素晴らしいクリスチャンなんて、めったにいません。牧師だって皆、欠けだらけです。

　　クリスチャンであろうが無かろうが、人間はどこまで行っても本当に弱いものです。

　　けれども、イエス様は強い！　誘惑に負ける事なく、悪魔に負ける事なく、死んでもよみがえる事ができる。そのイエス様が、いつも人生の、また信仰生活の先頭に立って進んで下さる！クリスチャンというのは、自分の弱さや罪深さを認め、弱いがゆえにイエス様にすがってより頼んで生きていく、そういう者なのです！

　　イエス様はあなたにも「立て、さあ行こう」と呼びかけておられます。あなたは強いのですか？人生の先頭に立って下さるイエス様と一緒に生きていきませんか！



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