2025年5月25日

マタイの福音書　27章32〜44節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 十字架の主役と助役 ＞


　ヤコブとヨハネ、二人兄弟はイエス様に切にお願いしたことがあります。イエス様が王様になったら、一人は右に、一人は左にしてください。１２人の弟子たちの中で、主役は私達にくださいとお願いしました。イエス様の答えは「わたしの右と左に座ることは、わたしが許すことではありません。わたしの父によって備えられた人たちに与えられるのです。」
残念ながら、イエス様が捕らえられた時、ヤコブとヨハネは主役を捨てて、怖くてイエス様から逃げました。

　十字架の上でイエス様がユダヤ人の王となった時、ヨハネはそばにいましたが、ヤコブはいませんでした。十字架の上の罪状書きがイエス様の頭の上に掲げられていました。
３７節：「これはユダヤ人の王イエスである」
十字架の時、イエス様の右と左にヤコブとヨハネはいなく、二人の強盗がいました。

　十字架が中心であり、イエス様が主役です。イエス様のとなりに助役がいます。ヤコブとヨハネは主役のところか、助役すらできませんでした。今日の箇所には十字架の助役たちがいます。今日の箇所は十字架の助役たちのお話です。


１．十字架の助役
（１）シモンという名のクレネ人
　イエスの十字架を無理やり背負った人です。十字架は裁判所からどくろの場所まで本人が背負って行かないといけないものです。一般群衆に見せることによって、反乱を起こさないように注意を呼び掛ける目的です。イエス様も最初はご自身で十字架を背負われました。しかし、体力の限界に達したので、これ以上背負うわれることができません。そのことで、兵士は力ありそうな人を無理矢理にイエス様の代わりに背負わせました。マタイはその名前をちゃんと記録しました。シモンという名前のクレネ人です。ユダヤ系クレネ人なのか分かりませんが、彼は無理矢理に十字架を背負わされました。自ら願ったことではありません。無理矢理に背負われましたが、それでも彼は従いました。彼は従いましたので、恵みの使命にあずかりました。彼はその後、イエス様を信じて救われたようです。彼の子ども達の名前が初代教会に登場します。3年間イエス様の側にいたイスカリオテユダは救われませんでしたが、無理矢理に、急に十字架を背負ったシモンは救われました。

（２）イエス様と一緒にいた二人の強盗
　イエス様の弟子ヤコブとヨハネはあれほど、イエス様の右と左の座に座りたかったのですが、予期せぬ二人がイエス様のそばにいました。イエス様が十字架にかけられた日はもともと予定に無かった日です。過ぎ越し、種無しパンの祭りが１週間なので、短くても1週間は十字架刑はないはずでした。イエス様の十字架はあまりにも急に決まったわけです。イエス様お一人だけだと群衆は暴動を起こす可能背があります。そのわけで、予定に無かった二人の強盗を一緒に処刑することで、イエス様も強盗の仲間の一人になりました。イエス様の右と左に二人の強盗がいるとイエス様が強盗の仲間のように見えます。

　二人の強盗の中で、右の強盗はイエス様を受け入れて救われました。右の強盗はイエス様のため何もやっていませんが、右の座に座る栄光にあずかりました。イエス様の右の座、左の座に座る人は誰になるのか分かりません。主の恵みを受けた人だけに与えられる祝福です。左の強盗も主の恵みあずかるチャンスはありましたが、自らチャンスを捨てました。二人の強盗は旧約の預言を成就することも知らず、十字架の助役となりました。一人の強盗は救いの御業を成し遂げるために、もう一人の強盗は滅びのさばきを証明するために。

（３）兵士たち
　兵士たちはシモンという名のクレネ人にイエス様の十字架を無理やり背負わせました。彼らはイエス様に、苦みを混ぜたぶどう酒を飲ませようとしました。彼らはイエス様を十字架につけてから、くじを引いてその衣を分けました。それから腰を下ろし、そこでイエスを見張っていました。彼らにとってイエス様は一人の囚人に過ぎません。彼らが救われたのかは分かりません。兵士たちを管理した百人隊長は神の子だったと告白しました。

（４）通りすがりの人たち
　通りすがりの人たちは頭を振りながらイエスをののしりました。通りすがりの人たちは十字架の場面で何も大事な役はありません。それなのに、イエス様をののしるために登場しました。しかし、彼らはこれから十字架の主役が登場するために一番大事な一言を言いました。
「神殿を壊して三日で建てる人よ、もしおまえが神の子なら」
三日で神殿を建てる、教会を建てる。神の子であるイエス・キリスト。あざ笑うことばですが、マタイは彼らの口を借りて、福音書の主題を言っています。祭司長たちも、律法学者たち、長老たちも同じです。

（５）祭司長たちも、律法学者たち、長老たち
　祭司長たちも、律法学者たち、長老たちは十字架において重要は助役の人達です。彼らもイエス様を嘲って言いました。
「彼はイスラエルの王だ。今、十字架から降りてもらおう」
「神殿を三日で建てる人・神の子」、「イスラエルの王」と言いました。これらのことばはマタイの福音書のキーワードです。マタイはこれらのキーワードを強調するために長い福音書を書きました。イエス様はこの三つのために十字架にかけられました。


２．十字架の主人公であるイエス様
（１）目に見えない神殿
　イエス様は十字架を通して目に見えない神殿を建てています。神の子の第一の使命は神の神殿を建てることです。神の子はダビデの子であり、ダビデの子は神殿を建てるのが使命です。昔はソロモンですが、イエス様は十字架を通して神の神殿を建てています。イエス様が建てられる神殿は目に見えない神の教会です。教会は建物ではなく、イエス様を信じる信者一人一人です。イエス様が十字架で死んで、三日目によみがえられることによって、目に見えない教会が誕生しました。

　シモンという名のクレネ人、一緒に十字架にかけられた二人の強盗、兵士たち、通りすがりの人たちや祭司長たち、律法学者たち、長老たち
彼らにはイエス様の恵みによって教会の一人となれるチャンスが与えられました。その中で救われている人もいれば、そのまま滅びた人もいます。

　今の時代においても同じく、目に見えない教会の一人となれるチャンスがあります。この日本でも多くの人々に、長い時間、福音が宣べ伝えられています。その呼びかけにたまに一人一人が救われて目に見えない教会の一人となっています。誰が目に見えない教会の一人なのか分からないので、誰にでも福音を宣べ伝えましょう。

（２）イスラエルの王
　ピラトはイエス様に「ユダヤ人の王」なのか質問しました。十字架の上にも「ユダヤ人の王イエス」と罪状書きを書きました。祭司長たちも、律法学者たち、長老たちも嘲って「彼はイスラエルの王だ」と確定しました。嘲るための皮肉の言葉でしたが、それが正解でした。イエス様はイスラエルの真の王です。旧約からの大事な教え、イスラエルの真の王は主なる神です。イエス様は十字架を通してイスラエルの真の王となりました。これからイエス様を信じる人は皆、神の民となります。

　祭司長たちも、律法学者たち、長老たちはイエス様をイスラエルの王として受け入れるつもりがありません。祭司長たちも、律法学者たち、長老たちの王はローマの皇帝です。彼らは真の王であるイスラエルの神を捨てました。

　今もイエス様を信じる人は誰でも神の民となります。私達はイエス様を信じて神の民となりました。そして、毎日神の民であることを告白して、神の国の法律を守ろうと頑張っています。神の国の民は神の国の民らしく生活します。神の国の法律である愛を実行するために生きています。信仰者として生きることは神の国の民として生きることです。私達に毎日、覚悟が必要です。この地で神の民として生きる。そのために主の御言葉に従う。神の国と神の義を第一にする。神の栄光のために生きている。イエス様が私の唯一の王様。イエス様が主役、自分は助役。



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