2025年5月4日

マタイの福音書　11章28〜30節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ イエス様が与える安息 ＞


　今はゴールデンウィークの真っ只中ですね。皆さんはどれだけこの休みを心待ちにしていたのでしょうか。皆さんの日々の疲れが、少しでも癒される休日になればと思います。日々の疲れは、肉体的な疲れもあれば、精神的な疲れ、また霊的な疲れもあるかもしれません。多くは、精神的なものではと思います。人間関係のストレスや、仕事や学校から受けるストレス、将来の不安、また自分に厳しい考え方等（こうしなくてはいけない）に縛られて相当なプレッシャーの中生活していることと思います。

　そのようなプレッシャーに苦しんでいる人々がいました。一般的なユダヤ人の人たちです。パリサイ人や律法学者たちは、律法にプラスしてさらに細かい言い伝えを守るようにと教えていたので、学のない一般のユダヤ人たちは、細かい言い伝えまでさえも守らなければならないという教えを信じ、そのプレッシャーの中で生活していました。律法主義の毎日に疲れ果てていたのです。その信仰的な疲れに加え、重い税金や、ローマ帝国支配下内でユダヤ人として生きる生きづらさ、があり、常にあらゆる重圧や抑圧の中で生活していたと思われます。

　現代でも、同じですね。喜びの信仰生活から、一般ユダヤ人のように、こうしなければならないといった重圧の信仰生活にすり替わっています。律法学者の言い伝えのように、クリスチャンならこうしなければならない、こうあるべきだ、という自分独自の考えに縛られ疲れています。その状態だと、他人をも裁くようになります。私はこうならなくちゃと頑張っているのに、どうしてあの人はそうしないのか、やらないのか。これは、信仰生活だけに限りません。会社の中で、コミュニティの中で、こうしなければ認められないと生きづらい環境の中で生きています。

　イエス様はこの状況を知っておられたので、人々を招きました。
28  すべて疲れた人、重荷を負っている人はわたしのもとに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。

　なにに疲れてしまった人、なんの重荷を負っている人（精神的な苦労を負っている人）ですか。この律法学者たちの言い伝えや律法を守ることに疲れてしまった人たちです。また、自分自身で頑張ろうと、自分で自分の重荷を負って疲れてしまった人たちだろうとも言えます。

　そのような人々に、私のもとに来なさいとイエス様は招いておられます。その疲れた状態のまま、着飾ることなく、そのままでイエス様のもとに来なさいという招きです。また休ませてあげよう、という意味は、その負っている重荷、疲れを取り去ってあげようという意味です。そして、魂をリフレッシュさせる、と言う意味合いもあります。ですから、イエス様ご自身が、疲れている人の負っている重荷を取り去って、魂を復活させてくださると言っているのです。

　そして、もちろん疲れている人、というのは、罪の重荷に苦しむ人、人生の思い煩い・問題があり悩む人全ても当てはまります。私たちには誰にでも、人にはなかなか言えない思い、悩み、思い煩いがあると思います。また、それらを解決しようと自分なりに努めたり、もがいたりした経験があると思います。その中で、こうしなければいけないと言う思いに苦しんだ、苦しんでいる人もいるかもしれません。そんな私たちを、イエス様が招いてくださっているのです。

　しかし、疲れや重荷に気づいていない律法学者はイエス様のもとへは行かないでしょう。いや、行けないのです。律法を教える立場にある律法学者たちは、知恵や高ぶりで、いつの間にか自分自身が律法・王様のようになっているのでイエス様のもとに行く必要を感じません。むしろ拒絶するでしょう。

　私はこの高ぶりがありました。今も名残があるかもしれません。私は、クリスチャンだから、必ず困っている人を助けなければならない、良い人であり続けなければならないというプレッシャーの中で生きていました。献身し、神学生になり、それがさらに深刻化しました。友達に頼まれたことは、深く考えず、とりあえず引き受けました。どうしても断らなければならない時は、かなり長い間、断ってしまった罪悪感で苦しみました。それほどまでに、良いクリスチャンでなければならない。そのためには断ってはいけない、という考えに縛られていました。そして、ふと、自分自身がイエス様のようになっていたことに気づきました。「自分は疲れていない、大丈夫だ。」「自分を必要としている人がいるんだ。」と、助けると言う意味を履き違えていました。このような私の心を通して、神様はどうやって働かれるでしょうか。ただ私の心と体だけが疲弊していくばかりでした。その時、心から悔い改めました。

　皆さんはどんな悩みや重荷を負っていますでしょうか。ぜひ今日、招かれるままに、そのままの状態でイエス様の元へいきましょう。神様のポジションを奪い、神様のようにふるまい、思い煩いや悩みを自分の力で解決しようとしないでください。今、抱えている問題や悩み、自分自身を苦しめているルール、信仰生活の疲れ、それをもってイエス様の元へいきましょう。イエス様はもうすでに、皆さんの心のうちをご存知で、深く憐んでおられ、心からの安息を与えたいと願っています。祈りを通して、御言葉を通して、また同じ信仰の友を通して、イエス様ご自身のもとへ来て、ただそこにいてほしいと願っておられます。私たちの疲れた心を埋めるものはたくさんありますが、イエス様だけが心からの平安と安息を与えてくださるのです。そして、私たちの魂をリフレッシュさせ、また明日踏み出す力を与えてくださるのです。

　イエス様のもとに招かれた私たちは、イエス様のくびきを負うように、そして学ぶようにと招かれました。疲れた私たちがイエス様のもとに行ったのに、イエス様はなぜ負わせようとしているのでしょうか。

　まず初めに、くびきとはなんでしょうか。くびきとは、ここでは、２頭の牛や馬の首にかける物です。２頭一緒に歩かせて、物を引いたり、土を耕したりようにしたようです。お互いに方向と歩調を合わせて歩かなければなりません。このくびきをイエス様はすでに負っているので、あなたがた“も”と、そのくびきを一緒に負うように招いてくださいました。

　私たちが負うはずだった重いくびきを、負わせないために、イエス様は一人で罪を代わりに担い、尊い命と引き換えにして、私たちに軽いくびきを与えてくださいました。今私たちが感じている全ての思い煩い、罪悪感、悩み、問題を、イエス様はすでに代わりにかつぎ、全て自分のものとして共に十字架につけられました。私たちに、平安と安息を与えられるためです。イエス様を信じているとき、私たちはイエス様と同じくびきを負っていますが、私たちが負う部分は軽いのです。そして、イエス様が私の全ての重荷、そして私たち自身でさえも背負って、歩いてくださるのです。ですから、私たちは一切の思い煩いを、イエス様を委ねて、お任せするのです。

　また、私から学びなさい、と言う言葉も、疲れている私たちに何かさせようとしている重荷に感じてしまいます。この“学ぶ”の動詞と同じ語源を持つ言葉は、“弟子”です。弟子になると言うことを表しています。

1 ペテロ2:21 このためにこそ、あなたがたは召されました。 キリストも、あなたがたのために苦しみを受け、 その足跡に従うようにと、 あなたがたに模範を残された。

　イエス様は、ご自身の後をついてきてほしいと願っています。弟子になることは、軽いくびきを負いながら、師匠であるイエス様から生涯学び続けるということです。イエス様を信じ、弟子になったからと言って、全てが楽になるわけではありません。学びの連続です。イエス様の言葉を聞き、それを行うように努めます。軽いくびきを負うとき、しなければならない、と言うプレッシャーからではなく、イエス様の言葉を聞いてそれを行いたいと思うようになります。

　私たちは、いつもよく考えていないだけで、それぞれ心に悩みがあるのではないでしょうか。人間関係の悩み、家族や子供との関係の悩み、信仰生活の悩み、将来の不安、経済的な面での不安、たくさんあります。それを隠すことなく、強がることなく持って、イエス様のもとに行きましょう。祈りを通して、御言葉を通して、主なるイエス様が慰め、平安と安息を与えてくださいます。皆さんが何よりも先に、誰よりも先にかけこむ場所が、イエス様であってほしいと願いますし、そこで安らぎと安息を得て欲しいと思います。これは、他の誰でもなく、イエス様が一番願っておられることです。もっと頼ってほしい、もっと相談してほしい、もっと心のうちを差し出してほしい。ぜひありのまま、イエス様に飛び込んで欲しいと願い、東京教会の皆さんがますます神様との深い関係が築けるようお祈りします。



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