2024年1月14日

コリント人への手紙第一　10章14〜24節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ コリント教会員の生きる目標 ＞


　荒野で40年を生活したイスラエル民の課題は食べものを確保することでした。荒野のイスラエルの民から2000年も過ぎた、コリント教会の信徒たちの課題も同じく食べることでした。2000年と言う長い時間が経ったのに、場所も違って、民族も違うのに、それでも課題は同じく食べることでした。

　コリント教会には二種類の信徒たちがいました。一つは元々異邦人だったのに、イエス様を信じてキリスト者になった人たちです。もう一つは元々ユダヤ人だったのに、イエス様を信じてキリスト者になった人たちです。

　本来であるなら、彼らは同じテーブルで食事することは不可能な身分でした。しかし、イエス様を信じた後からは同じ聖餐にあずかるようになりました。コリント教会の聖餐は夕食とセットとなっていました。イエス様の聖餐は元々過ぎ越し祭の夕食でした。コリント教会の信徒たちはイエス様の聖晩餐のようにたくさん食べて、十分飲みました。各自の家から持ってきたパンとぶどう酒、果物、野菜をたくさん食べました。お腹がいっぱいになるまで十分食べて、満足したのに、コリント教会に何が問題だったのでしょうか？

　コリント教会に二種類の信者たちがいると先ほど申しました。異邦人キリスト者とユダヤ人キリスト者がいました。もう一つの二種類の信者たちがいますが、僕たちと主人たちがいました。合わせると四種類の人達が混ざっています。コリント教会の信者たちが四種類に分かれていると一つにまとめることは難しいです。彼らの食文化が違います。彼らはコリント社会で住みながら、多くの未信者と仕事関係で関わっていました。仕事関係でいろいろの理解関係がありました。教会に来ると同じ信仰の友達です。教会の中では聖餐式を通して一つにまとまりました。しかし、時間が経つと聖餐に参加することさえ、違いが生じていました。

　こんなに違いが現れるのであるなら、一緒に集まって食べなければ良いでしょうか？　集まってトラブルになるよりは、一緒に集まらなければ良いでしょうか？　集まって問題になるよりは、一緒に聖餐式をしなければ良いでしょうか？　これは答えになりません。

　同じ聖餐にあずかることで彼らは同じキリストの体であり、同じ教会員です。一緒に聖餐に参加することで、彼らは一つとなりました。反対に一緒に集まって、食べることで互いにつまずき、互いに傷つけました。この矛盾をどうすれば良いでしょうか？

　聖餐にあずかるために、一緒に集まるから、互いに批判するし、互いに傷つけるし、一つになりません。しかし、だからと言って一緒に聖餐にあずからなければ同じキリストの体ではない事になるので、何のために教会に通っているのか根本的な問題にぶつかりました。


１．異邦人キリスト者とユダヤ人キリスト者
　コリント教会はコリントに住んでいたキリスト者たちの群れです。コリント教会員はわずかな人数で、町の９９％以上はイエス様を知らない人たちです。コリントの教会員は主日になると信仰の友達と一緒に礼拝と聖餐式をしました。主日が終わりますとそれぞれの職場で未信者と一緒に仕事をしました。未信者の同僚と一緒に仕事をして、一緒に食事もしました。仕事の同僚と普段の話をして、ある時は信仰の証しもしました。

　キリスト者が属している職場はいろいろのところとつながっていました。事業だから組合のような利害関係によってつながっていました。組合にも入っていました。キリスト者ももちろん組合に入っています。この組合は一年何回か、町全体のまつりをします。フェスティバルのようにただ遊びだけなら良いのに、宗教も絡んでいます。コリントにも偶像を崇める神殿がありました。神殿があることは祭りの時、ささげものをすることです。まつりだけでなく、普段の時も偶像に家畜をささげました。偶像にささげられた肉は市場にも出回っています。問題は偶像にささげてない肉よりは偶像にささげた肉の方がはるかに多いことです。偶像にささげられた肉を購入して良いのか、どうかの悩みが信者たちにありました。

　ここで、異邦人キリスト者とユダヤ人キリスト者が分かれます。異邦人キリスト者は生まれたときから今まで食べていた肉なので、何の違和感も無く今も食べています。しかし、ユダヤ人キリスト者はどうしても食べられません。生まれたときから今まで、偶像にささげたものは食べたことがありません。

　ユダヤ人キリスト者は市場で肉を買う時も気持ちがすっきりしません。もしかして、偶像にささげられたものではないかと言う疑いです。偶像にささげた後の肉、食べて良いでしょうか？　食べてはいけないでしょうか？　食べなくてはいけないでしょうか。どうしても食べられないでしょうか？　たったの食べ物のことですが、食べることが彼らの毎日の悩みでした。彼らのこの問題をどう解決したら良いでしょうか？

　異邦人キリスト者は食べても良いと主張しました。その理由として、偶像はそもそも存在しないものだから、存在しないものにささげた後のものは食べても何の害もないから食べても良いです。確かにそうです。偶像は、本当は存在しないものです。

　異邦人キリスト者には偶像にささげた肉を食べなくてはならない理由もあります。信仰者として食べたくないですが、仕事上、組合所属なので、未信者と絡んでいます。信仰の理由で簡単に食べませんと言いにくい部分があります。ですから、異邦人キリスト者は食べられる信仰の自由もあるので、食べていました。信仰の自由があるから、自由に食べました。

　2000年前のコリント教会の信徒たちにとっても食べることは大きな課題でした。狭い意味では偶像にささげた肉を食べられるか、どうかの問題です。広い意味では未信者の世界で暮らしながら、どうやって未信者と一緒に暮らすかです。生活の面で未信者に助けてもらうこともあり、未信者を助けることもあります。生活の面で、ギブアンドテイクで、いろいろ絡んでいます。偶像にささげた肉を食べるか、食べないかはある信者にとって大きな問題、ある信者にとっては小さい問題です。

　ユダヤ人キリスト者にはとても大きな問題ですが、異邦人キリスト者にとっては小さい問題です。同じ職場で、同じ仕事をしている同僚は未信者でも大事な存在です。教会に行くと同じ聖餐にあずかっているユダヤ人キリスト者も大事です。言い換えれば6日間のこの地上の生活も大事だし、聖餐式が行われる主日も大事です。どちらが大事だという問題ではありません。ですから、パウロは二つの答えを同時に下さいました。

パウロの答え
２３ 「すべてのことが許されている」と言いますが、すべてのことが益になるわけではありません。
「すべてのことが許されている」と言いますが、すべてのことが人を育てるとはかぎりません。
２４ だれでも、自分の利益を求めず、ほかの人の利益を求めなさい。

　異邦人出身のキリスト者はユダヤ人キリスト者を配慮しなさいと答えました。「すべてのことが許されている」は異邦人キリスト者たちの主張です。イエス・キリストがくださいました自由は素晴らしいものです。偶像にささげた肉そのものがキリスト者を汚すことはありません。良心の呵責が無ければ、私達にはすべてのことが許されている自由があります。しかし、パウロが言っているように、すべてのことが益になるわけではありません。キリスト者の倫理は自分の利益を求めず、隣人の利益を求めることです。

　異邦人キリスト者は偶像にささげられた肉を食べられる自由はあります。しかし、同じ主の聖餐にあずかるユダヤ人キリスト者のために遠慮する自由もあります。ユダヤ人キリスト者たちがたったの食べ物で苦しんでいるのに、その前で配慮せず、「私には食べられる自由があるから」と言いたいでしょうか？

　ユダヤ人キリスト者を配慮しないで、自分の信仰の自由ばかり求めるのであるなら、その背後に隠れた欲望があるはずです。信仰の自由、自由と言っていますが、その背後には信仰ではない欲望があります。その欲望をサタンが悪利用しています。表面は信仰の自由ですが、その裏には欲望が支配しています。

　コリント教会の異邦人キリスト者にとっても食べる問題は大きいです。主日は聖餐式で霊的に養われています。その意味では同じ教会のユダヤ人キリスト者も大事です。しかし、6日間働いている職場も大事です。その職場のおかげで生活が成り立っています。たったの食べ物のことで、未信者と関係を悪くすることはしたくありません。職場はとても大事です。しかし、とても大事なものになるとそれが人生の目標となり、生きる目的となりやすいです。仕事は生きる手段、生活の手段にはなりますが、仕事が人生の目標、目的になったらどうなりますか？

　私達は神の子どもで、神の栄光のために熱心に仕事をすることはありますが、仕事が神そのものになって、私たちにとって絶対的なもの、絶対的な価値、絶対的な目的になることはないと思います。皆様はいかがでしょうか？


２．キリスト者主人とキリスト者僕
　コリント教会を二つに分けるもう一つのものがあります。コリント教会には主人もいれば、他の家で働いている僕もいます。このしもべは住まいが主人の家でなく、外から主人の家に出勤するしもべです。夜遅くまで働いてから自宅に帰ります。時間的に余裕がある主人たちは早めに教会に集まります。しかし、僕たちは集まるのが遅いです。そうなると礼拝に集まる時間がバラバラです。早めに集まった人たちは早めに夕食をとります。しもべたちはどうしても集まる時間が遅くなります。早く集まった主人はたくさん食べて、飲んで酔っています。夜遅く集まったしもべは食べ物、飲み物が無くて、酔っぱらっている主人たちを見ると躓きます。

　聖餐の食事のためにせっかく集まったのに、主人たちは酔っぱらっています。しもべたちは疲れ果てているのに、食べ物、飲み物すらありません。この雰囲気で、キリストは一つ、教会も一つ、体も一つと言えるのでしょうか？　主人たちの食欲の欲望でしもべたちは試みに会いました。コリント教会の主人たちにもパウロのアドバイスが必要です。

２３ 「すべてのことが許されている」と言いますが、すべてのことが益になるわけではありません。
「すべてのことが許されている」と言いますが、すべてのことが人を育てるとはかぎりません。
２４ だれでも、自分の利益を求めず、ほかの人の利益を求めなさい。



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