2017年6月18日

ヘブル人への手紙　2章6〜13節

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　＜ 人は何者なので ２ ＞


先週に引き続き、「人は何者なので」ですが、今日は詩編ではなく、へブル書です。へブル２章は詩編８編の引用です。


１．へブル書による詩編８編の引用
　へブル書の記者は詩編８編の一部を引用しました。しかし、そのまま、そっくり引用したわけではなく、重要な単語を変えました。どこの部分が違うのか、何が違うのかを見ましょう。

（１）違うところ
　一つ目の違いは詩編５節の「少しく」とへブル書７節の「しばらく」
少しは物質と関係ある言葉、しばらくは時間と関係ある言葉です。「少しく」は本質的に足りないことです。人が神より本質的にどこが物足りないことです。「しばらくの間」は時間的な言葉です。イエス様は一時的に天使よりも低くなったという意味です。天使よりも本質的に足りなところはありませんが、一時的には低くなったことです。二つ目の違いは、一番重要な部分が違います。主語が違います。詩編８編は私たち人間のことです。しかし、へブル２章はイエス様のことです。主語が変わると内容は全部変わります。

（２）同じところ
　確かに主語は変えました。「人」から「彼」に変わりました。
人を神よりも低く造って　：「人」は一般的な人間を指している普通名詞
彼を御使たちよりも低い者となし　：「彼は」イエス様のことを指している固有名詞

　しかし、主語以外はほとんど変えていません。詩編８：４とへブル２：６を比較する。主語以外の部分はほとんど変えていない理由は何でしょうか？　変えなくても良いからです。イエス様が私たちとまったく同じ、体、人間になり、人間の代表者になりました。


２．イエス様の受肉と受難
　7節「しばらくの間、彼を御使たちよりも低い者となし」
イエス様が人間の体になりましたので、３３年間しばらく、色々の制限がありました。肉体を持っていることは時間的に、空間的に制限されることです。簡単に言えば死ぬことが出来る者になったことです。２：９「しばらくの間、御使たちよりも低い者とされたイエスが・・すべての人のために死を味わわれるためであった。」

　神が死ぬことは出来ませんが、イエス様は死を味わうことが出来る体になりました。それを天使よりも低くなったと表現しています。天使は霊的なものなので、時間と空間の制限がありません。天使は霊的なものなので、死ぬことが出来ません。イエス様はなぜ、しばらくの間、天使よりも低くなってこの地に来られ、苦しみを受けたのでしょうか。兄弟たちである私たち人間を救われるためです。

２：１６−１７
「確かに、彼は天使たちを助けることはしないで、アブラハムの子孫を助けられた。 17そこで、イエスは、神のみまえにあわれみ深い忠実な大祭司となって、民の罪をあがなうために、あらゆる点において兄弟たちと同じようにならねばならなかった。」


３．昇天による栄と誉
７節「栄えと誉とをこうむらせ」は昇天のことです。


４．最後の勝利
２：８「万物をその足の下に服従させて下さった」。
「万物をその足の下に服従させる」お方が私たちを兄弟と呼んでくださいます。兄弟なので、イエス様と一緒に同じ栄光にあずかります。人間の価値がここにあります。

　御子は詩編8編の一人の人間としてこの地に来られました。イエス様が人々を代表して、十字架を背負い、私たちを罪から救い、天に昇り、万物を治めますが、私たちを兄弟と呼んで、栄光にあずかるものにして下さいました。そして、父なる神を私たちも父と呼べるように教えてくださいました。この世に存在するいかなる被造物でも神を父と呼んではいけません。天使でさえ神を父と呼んでいません。イエス様を信じている私たちだけが神を父と呼んでいます。そして、イエス様と兄弟です。そして、イエス様が持っておられる祝福を頂ける資格があります。

　一人の尊さ、価値を聖書はこう言っています。創世記：神のかたち、神に似ている者
へブル：イエス様の兄弟、父なる神の子ども


　私たちの存在価値を一番低く評価している者は他ではなく、私たち自身です。神の存在を否定すると私たちの価値はゼロになります。罪により、神から離れると私たちの価値はゼロです。しかし、イエス様を信じ、神に従うときには神の子どもなので、イエス様が下さいましたすべてのものを継承することが出来ます。それをこの地上でも一部、継承することが出来ますが、その手段が祈りです。  私たちは神の子どもであるプライドを抱きながら、神の子どもらしく、きよく生きましょう。



　　　　　　　　このペ−ジのTOPへ　　　　　前週へ　　　　　翌週へ　　　　　一覧表へ戻る